幻 世


明日起きたらすべてが変わって
すべてが夢の出来事だったらいいのに
明日起きたらすべてが終わって
すべてでっちあげの作り話だったらいいのに

どこかで誰かが待っているなんて嘘だ
どこかで何かが変わるなんて嘘だ

それが現実
それが真実

誰かが目を剥いて殺されてかかっている今さえ
僕はTVを見て笑っている

何を歌おう 愛か?
何を歌おう 夢か?

愛も夢も持たない僕に
歌わせるのか 語らせるのか

どんなに疲れても
このゲームは終わらない

リセット押すのは君か 僕か
それとも別の誰かに押させるのか

点滴は僕を生へと繋ぐ
一滴一滴が僕を満たす

ベットの上で見上げる液体が
命綱だったとしても
この細い管に何が分かる

僕の痛みは分からない
僕の血管は生きているのだと
太い針をさされて瀕死の手の甲は
紫の色を浮かべ必死に抵抗を表す

ああ生きたい 生きたいと
幻世に浮かんだ月の雫を
飲み干したらもう少しだけ
僕は「やれる」と思うのだけど

遠過ぎて今は何も見えない
近過ぎて今は誰も見えない

拒絶しているのではない
絶望しているのではない

いつでも受け入れる覚悟で
僕は立ちはだかっているのだ

空を見上げながら



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