2024年5月31日金曜日

Hello Goodbye

僕は忘れられたオルゴール

時々螺子が緩んで声をあげるけど

誰も聴いてない

誰も聴いてないよ


僕の音を聴いてくれるのは

向かいに住んでるマリオネット

本当は一緒に暮らしていたのさ

だけど隣の奴が連れていっちまった


窓際からそっと見上げると

彼女の姿が見えて

そこで彼女は柔らかな肢体をくねらせ


奴とキスをするのさ

奴とキスをするのさ


僕は忘れられたオルゴール

話しかけてくるのはピンクの蜘蛛だけで

君のその沢山ある手で

僕の螺子を巻いて欲しいって頼むんだけど


「だめだね僕じゃ 力不足さ」


そこでまた僕は溜息を付いて

何とか自力で這い上がろうと思うんだけど

タンスの隙間に落ちた身体は

どんどん埃が積もって来て身動きが取れない


僕は忘れられたオルゴール

こうやっていつの間にか錆び付いて

もう二度と鳴る事もなくなるから

だからさあ


開けた目を閉じて欲しいんだ

最後に一度だけ鳴るからね


「こんにちわ さようなら」



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